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校長だより 9月「ぞうきん」

お知らせ

校長便り   (月)

 

 

       「ぞうきん」

 

 生前は、岡山市の西の方にある玉島というところに住んでおられた“玉島の良寛さま”と呼ばれていたプロテスタント教会の牧師であり、詩人であった河野進氏作品「ぞうきん」を、皆さんに紹介したいです。このような詩です。

 

 困ったときに思い出され  

 用がすめば すぐ忘れられる ぞうきん

 台所のすみに小さくなり  むくいを知らず

 朝も夜もよろこんで仕える ぞうきんになりたい

 

 私が光ヶ丘女子高校への入学を決心するにあたり、なんと四隅をきっちりと揃え、テラスに干されていたぞうきんが大きな役割を果たしたのです。美化委員さんによって毎週末ごと、きれいに洗われ干されていたぞうきんを学校訪問した時に目にした母が、ぞうきんを通して光ヶ丘教育を見抜いたのでしょうその日の内に、母の直観で、私の進路公立から私立へと変更したのです。若いころは、たかがテラスに干されていたぞうきんで娘の進路を変更させるほど、光ヶ丘女子高の何が良いのだろうと思っていました。

 

仲間にも、私の人生は「ぞうきん」で大きく変わったんだとよく話したものです。

 

しかし、歳を重ねシスターとして母校で働く中で、確信しています。母の直感は、正しかった。目立たず、汚れを取り除き、報いを求めず人のために使えるぞうきんを、大切に洗い次の清掃のために準備してくれていた生徒たちの心と働きの中に、光ヶ丘教育が大切にしたい価値観がしっかり宿っていたのだと・・・。

 

 2学期はさまざまな行事が控えています。目立たなくても、褒められることがなくても、自分に与えられた役割を、心を込めて誠実に果たすことで「人の光に」なれます。

 

光ヶ丘の教育、皆さんへの願いは「幸せな人生を、だからこそ人として社会の風潮に流されず、確かな価値観を持ってより善なるものを選ぶことができる女性に成長して欲しい心より願っています。

 

目に見える結果や評価だけにとらわれず、物事の損得だけで動くのではなく光ヶ丘で生活する私たちが「ぞうきん」のように謙虚さを忘れず喜んで人のために働ける女性を目指し、一緒に歩んでいきましょう。