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校長便り(7月) “ コップがあるってことが、うれしい ”

お知らせ

校長便り (7月)
  
 “ コップがあるってことが、うれしい ”


 
 学期に1度行われる校長講話では、いつもならば各学年に合わせて異なるテーマで話をしているのですが、今学期は全学年、同じ絵本を使用し生徒たちといろいろな考え方(価値観)を考える時間にしました。使用した絵本は最近、私がとても気に入っている作品『ぼく モグラ キツネ 馬』(チャーリー・マッケンジー著 川村元気訳)です。シンプルでありながら心の深い世界へと導いてくれる味わい深い内容です。


ひとりぼっちだった男の子が、森をさまよいながらモブラやキツネ、そして馬との出会いを通し、さまざまなことを語り合いながら友情を深め人生の意味や価値を見出していく内容です。互いの質問はシンプルだけれど答えはとても深い。私たち自身に問いかけられたなら、どのような答えになるだろうと生徒たちの心に小さな種を蒔きました。


例えば、「いままでにあなたがいったなかで、いちばんゆうかんなことばは?」「いちばんつよかったのはいつ?」 絵本の中で馬は「たすけて」そして「弱さをみせることができたとき」と答えます。「いちばんのおもいちがいは?」「かんぺきじゃないといけないとおもうことだ」と馬の返事です。弱さを見せること、助けを求めることを恥ずかしいことと思い頑張りすぎるほどに自分を追い込んでしまう人、完璧であることを求めるあまり心身ともに疲れ果てている人たちに伝えたい言葉です。「弱さがあっても大丈夫だよ!」最後に紹介したい問いとその答えは「コップに水が半分しか入っていないと思う?それとも半分も入っていると思う?」「コップがあるってことが、うれしい」 私たちはみんな弱さを持ち完璧な人など誰一人いません。コップを十分満たせていないからこそ、そこには可能性と希望が満ちています。水(才能・実績など)の量よりも、コップである私たち一人ひとりのかけがえのない存在にこそ感謝そして「私が私であること」を大切に!