光ヶ丘×SDGs
「SDGsが求められる時代」を読み解くキーワード① VUCA
「VUCA」とは
SDGsの達成が求められる現代の世界で、さかんに登場するキーワードを取り上げるコラムです。
第1回目となる今回は、「VUCA」を取り上げてSDGsの視点からついて考えたいと思います。
■「VUCA」とは、Volatility(変動性・不安定さ)・Uncertainty(不確実性・不確定さ)・ Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字をとった造語で「ブーカ」と読みます。時々刻々と変化する社会環境の複雑性が増し、「想定外」のできごとが次々と起こる、まさに「予測不可能」な現代の世界をあらわす表現です。
もとは、冷戦終結後の世界を見据えた軍事用語とも言われますが、今世紀に入って世界経済フォーラム(ダボス会議)」などで多用されるようになったことでビジネスシーンを中心に一気に認知度が高まりました。
「VUCA×SDGs」の視点でみると、「気候変動(気候危機)」はその最たる例でしょう。ここ日本でも毎年のように「〇〇年に一度の」と枕詞のついた極端な気象現象が報じられ、「想定外のできごと」が次々と起きています。世界でも、様々な気象現象が起こり多くの災害も招いています。そして新型コロナウイルス感染症もまたVUCAの時代の象徴的な事例になってしまいました。
どちらも、地球や人間の健康・経済社会を脅かす危機的な課題です。気候変動対策では、パリ協定(SDGsのおよそ1か月後に採択)を中心に、全地球規模での取り組みが始まっています。また、コロナ禍からの復興をめざす今日では「グリーンリカバリー」というキーワードが注目されています。
グリーンリカバリーとは、大打撃を受けた世界経済の復興に際して単に以前の社会に戻すのではなく「ビルド・バック・ベター(Build Back Better/BBB)」=「より良い復興・創造的な復興」の発想で、これを機に脱炭素社会へのシフトなどをすすめることをめざす取り組みです。「グリーンニューディール」との表現もみられます。
いずれの危機も、根底にある共通課題はSDGsのSにあたる「サステナビリティ(持続可能性)」です。VUCAな時代、予測不可能な事態だからと今のまま何もしなければ、やがて行き詰ってしまう、持続不可能な社会になるのは明白です。逆に、VUCAな時代だからこそ、環境・社会・経済を包括的にあるいは両立させながら解決をめざす発想であるSDGsこそがサステナブルな社会、持続不可能性に対処できる強靭(レジリエント)な社会への歩みを確かなものにする取り組みだと言えるのです。
予測不可能なVUCAの時代が到来した今日、「想定外をも前提としたシステムや思考」を備え鍛えるうえで、SDGsへの取り組みがいっそう重要になってきています。
【このコラムのキーワード】
SDGs 持続可能な開発目標 VUCA サステナビリティ パリ協定 新型コロナウイルス グリーンリカバリー グリーンニューディール ビルド・バック・ベター BBBレジリエント