光ヶ丘×SDGs

SDGsをめぐる最新動向① 169Targets

Column

SDGsには、カラフルなアイコンでおなじみの17の「ゴール」の他にも、その下に計169の「ターゲット」があります。

17のゴールに対し、それらを達成するために必要なより具体的な目標が示されており、それぞれのゴールに対して5から最大で19設定されています。

 

17のゴールの認知度は徐々に上がってきましたが、この先はその達成のための具体的なアクションが重要になってきます。

 

 

各ゴールの1番目に設定されているターゲットを紹介すると次のようになります。

 

1.1 2030年までに、現在のところ 1日 1.25ドル未満で生活する人々と定められている、極度の貧困(※ 1)をあらゆる場所で終わせる。

 

2.1 2030年までに、飢餓をなくし、すべての人々、特に貧困層や乳幼児を含む状況の変化の影響を受けやすい人々が、安全で栄養のある十分な食料を一年を通して得られるようにする。

 

3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人あたり70人未満まで下げる。

 

4.1 2030年までに、すべての少女と少年が、適切で効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育・中等教育を修了できるようにする。

 

5.1 あらゆる場所で、すべての女性・少女に対するあらゆる形態の差別をなくす。

 

6.1 2030年までに、すべての人々が等しく、安全で入手可能な価格の飲料水を利用できるようにする。

 

7.1 2030年までに、手頃な価格で信頼性の高い現代的なエネルギーサービスをすべての人々が利用できるようにする。

 

8.1 各国の状況に応じて、一人あたりの経済成長率を持続させ、特に後発開発途上国では少なくとも年率7%のGDP成長率を保つ。
 
9.1 経済発展と人間の幸福をサポートするため、すべての人々が容易かつ公平に利用できることに重点を置きながら、地域内および国境を越えたインフラを含む、質が高く信頼性があり持続可能でレジリエントなインフラを開発する。

 

10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の人々の所得の伸び率を、国内平均を上回る数値で着実に達成し維持する。
 
11.1 2030年までに、すべての人々が、適切で安全・安価な住宅と基本的サービスを確実に利用できるようにし、スラムを改善する。
 
12.1 先進国主導のもと、開発途上国の開発状況や能力を考慮しつつ、すべての国々が行動を起こし、「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」を実施する。

 

13.1 すべての国々で、貴校関連の災害や自然災害に対するレジリエンスと適応力を強化する。

 

14.1 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含め、特に陸上活動からの汚染による、あらゆる種類の海洋汚染を防ぎ、大幅に減らす。

 

15.1 2020年までに、国際的合意にもとづく義務により、陸域・内陸淡水生態系とそのサービス(※2)、特に森林、湿地、山林、乾燥地の保全と回復、持続可能な利用を確実なものにする。

 

16.1 すべての場所で、あらゆる形態の暴力と暴力関連の死亡率を大幅に減らす。

 

17.1 税金・その他の歳入を徴収する国内の能力を向上させるため、開発途上国への国際支援などを通じて、国内の資金調達を強化する。

 

 

(※1)極度の貧困の定義は、2015 年10 月に1 日1.90 ドル未満に修正されている。

(※2)生態系サービス:生物・生態系に由来し、人間にとって利益となる機能のこと。

 

 

[出典]「SDGsとターゲット新訳」制作委員会(委員長;蟹江憲史 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)の訳を引用。

 

 

時代は、SDGsは「知る」ことから「する」ことへとすでに移っています。

そして、ゴール(目標)と呼んでいるものは、実は「目的」ではなく「手段」です。

そのための具体的な数値や目標こそが、世界の未来を変えるための道しるべだと言えます。

 

 
【日本版制作プロジェクト】

実は、この169のターゲットすべてにも、それぞれデザインされたアイコンが存在します。17のゴールのアイコンデザインを手がけたスウェーデン出身のクリエイティブディレクター、ヤーコブ=トロールベック氏は、169のターゲットアイコンもデザインしていました。

 

ところが、その169のターゲットアイコンには、17のゴールアイコンにあるような日本語のフレーズがまだ存在しません。そこで、光ヶ丘のジェンダー・プロジェクトの生徒たち5名は、17ゴールの認知度が上がった今、この具体的なアクションをイメージしやすいターゲットこそ世の中にひろめるべき、そしてそのためには短く伝わりやすいフレーズが必要だと立ち上がりました。4月・5月の休校期間中にまずはゴール5(ジェンダー平等を達成しよう)の下にある9つのターゲットの日本語版フレーズの制作に取り掛かりました。そして、各個人が日本語訳を考案してそれをSkypeミーティングですり合わせるという方法をとりました。

 

制作は、英語で書かれた国連の公式文書の表現を見つつ日本の総務省が公表している仮訳を参考に(当時は「SDGsとターゲット新訳」は未発表)、17のゴールアイコンのフレーズのような短く、イメージしやすく、なおかつアクションを喚起しやすいような表現を追求し、ゴール5のターゲットの日本語訳案が完成すると次はゴール1のターゲットから順に日本語訳案を制作するチャレンジをはじめました。

 

そうしているうち、休校期間が明けると、6月下旬から朝日新聞社が主催する「SDGs 169ターゲットアイコン日本版制作プロジェクト」が立ち上がり全国の学生からの応募受付が開始されました。

 

そこで光ヶ丘では、これに応募するため、全校生徒からあらたに全169のターゲットアイコンの日本版制作プロジェクトへの参加を募ったところ28名のメンバーが集まり、活動を本格化させました。この28名のメンバーが中心となり、全校生徒から日本語訳案を募集して集約し、自分たちの手でフレーズをつくり込むために毎週定期的に集まってミーティングを重ねています。

 

制作にあたり、SDGs研究の第一人者である蟹江憲史 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授が委員長をつとめる「SDGsとターゲット新訳」制作委員会が提案しているターゲット新訳を新たに参考にしているほか、かつて17のゴールアイコンの日本語訳を担当した、川廷昌弘氏をリーダーとする博報堂DYホールディングスのチームの記事を洗い出したりもしています。17のゴールアイコンを日本語訳するときに大切にした「意図」や「思い」に触れ、生徒たちの活動はより深化していっています。

 

しかし、これもあくまでも目的ではなくて手段。169あるターゲットが、よりシンプルで分かりやすい言葉として老若男女、世代を超えてより多くの人々に届き、それぞれの生活の中でできる「未来を変える一歩」、そのアクションを喚起するための手段です。

 

この用語の意味を調べてみよう、この数値は何を示しているのか、どういう意図でこの目標が設定されているのか、この英語の和訳はほかの言葉で置き換えられないだろうか、この表現で伝わるのだろうか‥‥、生徒たちは日々試行錯誤しながら議論と対話の探究活動を繰り返し、1つのターゲットあたりわずか30文字以内の言葉に自分たちの思いを込めていきます。

 

わずか5名の生徒からはじまった光ヶ丘の「169Targetsアイコン日本版制作プロジェクト」は、全校生徒を巻き込んだ取り組みとなり、まもなく169あるターゲットアイコンの光ヶ丘版日本語フレーズが完成しようとしています。

 

SDGsを学ぶ、SDGsで学ぶ、英語を学ぶ、英語で学ぶ。「学びたい」そして「伝えたい」。この取り組みを通して生徒たちの活動はとても広く、深いものになっていっています。

 

 

 

 

【このコラムのキーワード】

SDGs 持続可能な開発目標 169 ターゲット

 

 


【2021年1月24日(国連「教育の国際デー」)追加情報】

☆光ヶ丘版「SDGs169ターゲットアイコンの日本語コピー」の提案をまとめたPDFファイルをアップロードしました!

 

光ヶ丘版169ターゲットアイコン日本語コピー案(フルカラー版)Ver.3

(一部誤植を修正/2021年2月4日)

■この件に関するニュース記事はこちらをご覧ください。


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